2020年有力高校生の大学進路まとめ

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奥井は帝京へ、伊藤大祐は早稲田へ進学

この世代を代表する選手といえば、大阪桐蔭高校の奥井章仁と桐蔭学園高校の伊藤大祐の2名です。
ともに強豪校で1年生からスタメンを勝ち取り、2年時にはすでにチームの主軸、3年時にはキャプテンとしてチームの絶対的存在として活躍しました。

奥井は三列目の選手で、下級生時はフランカー、最終学年ではエイトとしてプレー。分かっていても止められない突破力が最大の魅力です。
伊藤は福岡県から桐蔭学園を進路に選び、1年時はCTB、2年時はFB、3年時にはSOとバックスの中央ポジションを移動しながら、常にレベルアップを続けてきました。
高い判断力、キック力、ラン力と、バランスの取れた能力を兼ね備え、花園では超高校級プレイヤーとして、桐蔭学園の単独初優勝をけん引しました。

大阪桐蔭と桐蔭学園は、過去3年連続で花園で対戦しており、ポジションこそ異なりますが、同世代を代表する存在として互いを強く意識していたはずです。
進学先は帝京と早稲田――大学ラグビーの対抗戦を牽引する強豪校同士。大学でもライバル関係は続いていきます。

帝京の三列目は、昨年は負傷者が相次ぎ、やりくりに苦しんだ状況でした。
早稲田は、4年間SOを務めた岸岡智樹(現・クボタ)が卒業。ともに1年目からキーマンとなる可能性は十分にあるでしょう。

PRとLOが特に充実。大学随一の布陣・明治大学

全国各地から24名の選手が入部した明治大学は、高校日本代表の進路先としても6名と最多を誇ります。

今年はフロップが豊作の年。その中でも、床田淳貴(桐蔭学園)、中山律希(天理)、為房慶次朗(常翔学園)という、高校トップクラスの3選手が明治に進学します。
ロックには、高校日本代表で190cm超えの山本嶺二郎(京都成章)、亀井茜風(長崎北陽台)が加わり、さらに付属校の明大中野八王子からは、全国舞台の出場はないものの、2学年飛び級でU20日本代表に選ばれた松本光貴が入部。ラインアウトでも大きな武器になるでしょう。

SO(スタンドオフ)では、神奈川で伊藤大祐としのぎを削った池戸将太郎(東海大相模)が東海大ではなく明治大を選択。
また、1年時から全国の舞台を経験してきた伊藤耕太郎(國學院栃木)も加入し、来季以降の「ポスト山沢」候補が豊富な布陣となっています。

SH(スクラムハーフ)には、高校日本代表の大越勇気(茗溪学園)と、花園優勝メンバーである萩原周(大阪桐蔭)が入部。
CTB(センター)には廣瀬雄也(東福岡)、WTB(ウイング)には西川賢哉(桐蔭学園)と、各ポジションに高校トップクラスの選手が揃い、大学随一の選手層を誇ります。

FWとBKのバランス、そして選手層の厚さを含めても、明治大学は頭ひとつ抜けた存在であると言えるでしょう。

明治に続く帝京大学。江良・高本・山口らが入部

高校日本代表に選出された人数では、明治大学の6名に次ぐ5名が帝京大学に進学します。
例年のように各ポジションに全国トップレベルの選手が集まった年と比べると若干トーンは落ちますが、それでも充実した戦力が揃っています。

大阪桐蔭で奥井と共にチームの中心を担ったフッカー江良颯も帝京大学へ進学。
江良と奥井は今年の高校日本代表に加え、前年には2年生ながら飛び級で同代表に選ばれた経験もあります。
FW陣では、大阪桐蔭の両選手をはじめ、関西のトップ選手の入部が目立ちます。
プロップでは御所実業の1番津村大志、京都成章の3番西野拓真
さらに、FWながらバックス的なセンスも備える大阪朝高の尹礼温、超高校級のFWが集った京都成章でエイトを務めた延原秀飛も帝京大学に加わります。

バックスでは、東福岡のトライゲッター高本とむ、そして高校屈指のフルバックでセブンズでも活躍した長崎北陽台の山口泰輝の2名が特に注目されます。
両者ともに高校日本代表メンバーであり、大学での活躍が期待される存在です。

早慶・筑波の注目選手たち。山田は慶應へ

大学選手権を久々に制した早稲田大学には、前述の伊藤大祐に加えて、東福岡から川﨑太雅(PR)、永嶋仁(FL)の2名、さらに長崎北陽台のCTB岡﨑颯馬らが加入します。

圧倒的なラン能力で注目を集めた報徳学園のFB山田響は、同校からの進学先としては珍しく慶應義塾大学へ。
また、花園での試合出場はなかったものの、関東を代表する選手として注目されたSO/CTB永山淳も慶應へ進学します。

筑波大学では、4年間スタメンを務めた杉山優平(現・東芝)が卒業したSH(スクラムハーフ)のポジションに、白栄拓也(高鍋)と松井翔(東海大仰星)という全国レベルの2選手が加入。
さらに、全国大会の舞台経験はないものの、年代別代表の常連である福岡高校の谷山隼大も筑波に進学します。

東海大学は付属校からトップ選手が加入

全国大会への出場は一昨年のセブンズ(アシックスカップ)のみですが、世代屈指の留学生コンビとして注目された東海大福岡の2名が、そのまま東海大学に進学します。
LO(ロック)のアフ・オフィナとCTB(センター)のフィナウ・ポロメアの両名は、いずれも今年の高校日本代表に選出。
特にポロメアは、前年も2年生ながら飛び級で高校日本代表に選ばれており、そのポテンシャルは群を抜いています。

1年時にFBとして花園優勝を経験した谷口宜顕をはじめ、仰星からは高橋凛(PR)、武藤ゆらぎ(SO)、何松健太郎(CTB)ら、全国クラスの選手たちが東海大学に進学します。

御所のキーマン2名、世代No.1スクラムクラッシャーが大東文化大へ

フロップ豊作の年とされる中でも、スクラムで圧倒的な力を見せるのが國學院栃木の藤倉大介です。
高校と大学ではスクラムの重要性が大きく異なるだけに、大学での成長と活躍が非常に楽しみな選手です。

花園準優勝の御所実業からは、高校トップクラスのSH(スクラムハーフ)稲葉聖馬、No.8としてチームを支えた西林勇登の2名が大東文化大学へ進学。
さらに、大阪桐蔭の190cm超えの大型ロック新屋快、秋田中央の看板選手である佐藤亮吾小田嶋生吹といった面々も注目です。

常翔・大阪桐蔭・東福岡などから有力選手が揃う同志社大学

関西の中でも、同志社大学の充実ぶりが際立っています。

まず、大阪桐蔭のBK(バックス)主軸の2名――判断力に優れるSO(スタンドオフ)嘉納一千、そして高いラン能力が持ち味のFB(フルバック)芦塚仁が入部。
常翔学園からは、高校日本代表のPR(プロップ)山本敦輝と、大型CTB(センター)岡野喬吾が同志社を選びました。
また、東福岡からは、PR小西優治とNo.8(ナンバーエイト)西濱悠太という全国クラスのFWが加わります。

無名選手が集う天理、新体制1年目の京産大

天理大学には、付属高校から前川風雅(CTB)、豊田祐樹(WTB)らが進学しますが、有力選手が他大学を選ぶケースも目立ちます。
花園でも活躍を見せた、高知中央の留学生マナセ・ハビリや、桐生第一の奥田北斗といった知名度のある選手の入部は見られず、現時点では全国的に注目される選手は少数に留まっています。

長く続いた大西監督の後を継いだ伊藤新監督のもと、新体制1年目を迎える京都産業大学。
世代No.1の破壊力を持つヴェア・タモエフォラウ(札幌山の手)、京都成章のキャプテン三木皓正(FL)、東福岡で14番を背負った松岡大河らが進学します。

大学ではなく、トップリーグ・パナソニックへ進む御所の島田

ラグビーでは、他の競技と異なり高校卒業後は大学進学が一般的ですが、御所実業の島田彪雅はトップリーグのパナソニックへの加入を選択しました。
これは、2年前に東福岡からパナソニックに進んだ福井翔大に続く決断です。

今年の花園では、島田が東海大仰星に一度進学後に退学し、御所実業に再入学して出場した「高校4年目」の選手として紹介され、大きな話題を集めました。
PR(プロップ)ながら高いハンドリングスキルを持ち、前進する質の高いキックを蹴るなど、現代ラグビーを象徴するような万能型の選手です。

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