2021年有力高校生の大学進路まとめ
各ポジションで高校トップレベルが集う明治大学
今年の明治大学は、例年以上に充実した布陣を誇ります。まさに、頭一つ二つ抜けた存在と言えるでしょう。
特に注目すべきは、1列目からバックスまで、全ポジションに期待の新入生が揃っている点です。「どのポジションが充実しているか」という問いが不要なほど、すべてのポジションが注目に値します。
1列目には、花園連覇を達成した桐蔭学園の1番を務めた倉島昂大、そして長崎北陽台の田中翔太朗が加入。スクラムからボールキャリーまで総合力に優れた高校屈指のフロントローが、数多くのトッププレーヤーを輩出してきた明治に進みます。
また、大阪朝高のキャプテンとしてチームをベスト4に導いた金勇哲は、抜群のリーダーシップと強靭なフィジカルを武器に活躍。高校ではNo.8が主戦場でしたが、大学ではHOでの起用が予想されます。
この世代は、LOの「豊作年」と言われています。中でも、九州から190cm超えの2選手――金子琉聖(佐賀工業高校)と田島貫太郎(東福岡高校)――が明治を選びました。ともに高校では全国屈指の選手でありながら、まだ荒削りな部分もあり、大学での成長が大いに期待されます。金子は高校からラグビーに転向した経歴を持ち、ポテンシャルは計り知れません。
そのほか、常翔学園で1年時から花園を経験した木戸大士郎は接点の強さが魅力。新潟工業で下級生の頃から主力を担った稲村心は、優れた突破力を武器にしています。
3列目には、中部大春日丘高校の福田大晟、國學院栃木高校の吉田爽真という、下級生の頃から全国の舞台で活躍してきた世代屈指の選手たちが揃いました。どちらも、接点の強さとフィジカルを活かしたボールキャリーが持ち味で、「これぞ明治の三列目」と言える逸材です。
BK陣も負けていません。世代No.1のバックスプレーヤーである、御所実業高校の安田昂平が明治に加入。180cmを超える身長、高いラン能力、優れたキック力と判断力を兼ね備えた、まさに頭ひとつ抜けた存在です。下級生時代はWTB、最終学年ではSOとしてゲームメイクを担いましたが、大学ではWTBやFBでの起用が予想されます。
また、御所実業で安田とともにBK陣を牽引した登根大斗も明治へ。パスやディフェンスに優れ、状況判断能力の高さが光る選手です。
CTBには、強力なタックルが持ち味の吉田輝雅(東海大相模)と山田歩季(京都成章)の2名。さらに、SOとしてもプレー可能で、キック力と判断力に優れた東福岡の主力寺下功起が加わります。
そのほか、東福岡のエースウイング坂本公平、桐蔭学園で2年時からBKの中心を担った秋濱悠太、そして圧倒的なラン能力で花園を沸かせた、世代No.1フルバック金昂平(大阪朝高)など、花園上位校のエースたちが明治に集いました。
明治に次ぐ帝京大学。青木・本橋が進学。
今年の高校ラグビー界では、「BIG3」として超高校級の3選手が注目されました。そのうち、青木恵斗(桐蔭学園)と本橋拓馬(京都成章)の2名が帝京大学への進学を選びました。
花園連覇の原動力となった青木は、圧倒的な突破力とオフロードパスの巧さを兼ね備えた選手。高校レベルでは頭一つ二つ抜けた存在で、わかっていても止められないプレーを見せました。3年時の花園では、ディフェンス面でも成長を感じさせました。
本橋は2年時から京都成章のスタメンとして活躍し、193cmの長身を活かしたLOとして、大学以降の活躍も大いに期待されています。ボールを持った際の長いストライドと強いフィジカルによる突破は、花園で何度も印象的なシーンを作りました。恵まれた体格と圧倒的なパワーを持つ2人が、大学ラグビーでどのような姿を見せるのか注目です。
1列目では、ボールキャリー能力に優れた強力なプロップ小林龍司(御所実業)、ラインブレイクで何度もチャンスを作ったフッカー當眞蓮(流経大柏)が加入。
3列目には、平井半次郎(御所実業)、グアイニ優人(石見智翠館)、倉橋歓太(東海大仰星)、知念優来(常翔学園)と、花園を沸かせた有力選手たちが揃います。
ハーフには、ボックスキックや素早い仕掛けで大阪朝高の快進撃を支えた李錦寿が加わります。
センター陣では、選抜大会や花園には出場しなかったものの、U17日本代表やコベルコの活動で全国的に名を上げた久木野太一(小倉高校)は、タックルの強さが光る選手。京都成章らしい堅守の松澤駿平、光泉の中心選手森寛大も注目の存在です。
ウイングには、長崎北陽台の俊足WTB山田駿也、関大北陽の岩田一真、そして小柄ながら圧倒的なスピードとステップワークを誇る寺山廉太郎(京都工学院)らが揃い、BK陣にも実力者が顔をそろえます。
また、3年前の全国ジュニアラグビー大会で大阪府中学校代表として活躍し、ニュージーランドに留学していた小村真也が帰国し、帝京大学に入部。3年ぶりの日本でのプレーに期待が集まります。
佐藤健次は早稲田へ。
先ほどのBIG3の一人で、この世代を代表する存在である佐藤健次(桐蔭学園)は早稲田大学への進学を選びました。
1年時から桐蔭のNo.8として出場し、花園で数々の印象深いプレーを残しました。強さ、速さ、しなやかな走りを兼ね備え、大きなゲインを重ねてきた佐藤が、大学ではどのポジションで起用されるのか注目されます。丸尾の卒業により空いたNo.8を継ぐのか、フランカーや、将来を見据えて1列目での起用も考えられます。
なお、今年も桐蔭のキャプテンが早稲田へ進学します。
茗溪学園のFWの軸として活躍し、スクラム・運動量・ボールキャリーの三拍子が揃った亀山昇太郎は、世代No.1プロップと評価される存在です。
スクラムハーフには、実力派2名が加入。世代No.1と称される宮尾昌典(京都成章)は、鋭い仕掛けが魅力。國學院栃木の細矢聖樹は、運動量とテンポメイクに優れた選手です。
また、早稲田の附属校・早実からも、優秀なハーフ清水翔大が在籍している中で、スポーツ推薦4名枠のうち2名をスクラムハーフに割り当てた早稲田の戦略も興味深いところです。
バックスに好選手が揃う筑波。
筑波大学は例年、特にバックスの実力者が集まる傾向にありますが、今年もその傾向は継続しています。
中部大春日丘で下級生の頃からゲームメイクを担った堀日向太、東海大仰星のスピードスター大畑亮太、そして流経大柏で下級生時から花園で活躍した浅見亮太郎の3名は、特に注目すべき存在です。
FWでは、天理高校で主軸として活躍した二重賢治が筑波に進学します。
大所帯の東海大学
50名以上の新入生が加入する東海大学。その中で最も注目されるのは、東福岡高校の本田啓です。
花園では本職のHOではなくPRを務めましたが、110kgを超える巨体ながら、スペースがあればBKのようなランを披露。FW戦では強靭なフィジカルを活かしてゲインを重ねました。明るい笑顔も印象的で、花園を大いに沸かせた選手の一人です。長身ロックの中山竜太朗(東海大仰星)も注目されます。
バックスでは、常翔学園の辻時羽はボールを動かせるスクラムハーフ。仰星のキャプテンを務めた近藤翔耶は特にディフェンスに定評があります。全国トップレベルの選手はそれほど多くはないものの、花園を経験した選手が数多く揃っています。
天理大学には大学での飛躍に期待が集まる
大学選手権を制した天理大学ですが、例年通り、高校トップクラスの選手の入部は少数にとどまります。
とはいえ、「大学で大きく成長し、下剋上を果たしたい」という意欲的な選手たちが集まり、今年も新入生の数は多くなっています。
中でも実績のある選手としては、日本航空石川の突破力ある留学生パトリク・ヴァカタ、秋田工業の強力BK陣の一角を担ったナイバルワガトマシ、東福岡のSO田中心大、そして常翔学園のフッカー寺西翔生らが注目されます。
関西では同志社大学が充実
近年、リクルートが好調な同志社大学には、今年も有望な高校生たちが入部します。
プロップの名門・常翔学園からは、1番と3番を担った土井康暉、上野聡大がそろって加入。
2列目・3列目には、東福岡のキャプテン永住健琉、報徳学園のFW主軸久保太陽、仰星のハードタックラー奥平都太郎と、層の厚さが光ります。
BKには、仰星の藤田海元と村岡麟太郎のコンビ、さらに東福岡の江口翔らが進学。
また、附属高校である同志社香里からは、チームの主軸を務めた野村成が進学。キック・ランともに優れた能力を持つ選手として期待されています。
高卒でトップリーグ・トップチャレンジへ
2mの長身ロックワーナー・ディアンズ(流経大柏)は、大学・社会人・海外といった多くの進路の中から、トップリーグ・東芝を選びました。
また、青森山田高校のスピードランナー千葉健は、高校卒業後すぐにトップチャレンジの釜石シーウェイブスへ加入します。